8月29日の日本経済新聞に。和食レストランチェーンのサガミのことが紹介されていた。
店長と本社管理職の約200人を対象に、上司だけでなく、同僚や部下からも働きぶりの評価を受ける「360度人事評価」を導入した。
アルバイトを含めた多方面の評価を使い、より公正な人事評価をつなげるのが狙いだという。
時どきこの部下から受ける人事評価のニュースを見るたびに、かつてそれを導入していた企業は今でもうまく運用できているのだろか、ということが気になるのだ。
実は、ミムラも20年ほど前にこの「部下からの評価」を導入したことがある。
しかし結局、数年後にその旗を降ろした。上司が、部下から評価されるには部下のレベルが低いと抵抗したからだ。
今でもこの「部下からの評価」というのは、やってみたいし、いいシステムだと思っている。
その時はまだボクは幹部でしかなく、経営者ではなかったのだが、いま経営者としてもなかなか運用が難しいだろうな、と感じているのはその時の体験があるからだ。
なにが難しいかというと、評価をするというのはある程度組織の「価値観」を揃えておく必要があるということ。
そして、管理職とメンバーでは要求されるレベルが違うことがしばしば違うのが、普通の企業だ。経営者もメンバーにはニコニコしていても、裏に回れば管理職には相当厳しいはずだ。そのような企業の場合に、果たしてメンバーが管理職のあるべき姿を正確に理解できるのだろうか、という心配がある。
一番に面倒なのは、心でよく思っていない上司に対して、「それらしい」マイナスポイントをつけたりするのだ。上司は「好き嫌い」を発揮してはならないのが基本(だと思っている)だが、メンバーからはどうしても好き嫌いで上司を見てしまうことが多々あろうかと思う。
どんな価値観があろうがなかろうか、評価は評価だ。
メンバーを気持ちよく仕事をさせていないというのは、大いなる事実だ。
という広い意味での会社の価値観を共有するにはかなり意味がある。
しかし、得てして部下から評価される上司は、かなり(当たり前だが)嫌がる。
あんまり考えていないような部下に評価されるのはたまらんからだ。
それも、また日ごろの自分の育成の評価と言えばそういえよう。
私も仮に社員から社長の評価を受けるとなると、これは困るだろう。
社長の仕事なんか絶対に分かってくれんだろうな、という甘えと自負もあるし、そんな大そうな社長でないという自分理解もあるからだ。
価値観を揃える、ということがどれだけいざとなると大事か。
企業や組織での一番シンプルな問題はそこであるのだ。そうでなくてどうやって組織のモチベーションがあがるだろうか。
昔から「部下評価」を導入している企業がどうなっているのか、興味があるし、いつかミムラもそんなことが再び出来るような会社になってみたい。
でも、そんなときは社長への評価も辞さないという強い決意も要るだろう。
しかし上司の本分はメンバーへのサポートなのだ。
そのサポートがどれだけ浸透しているか、を知るには部下からの評価でしかない。
上司の仕事を勘違いしている人は、上からの目線しかないのだ。
何度も言うが、上司はメンバーがいかに働きやすい環境を支えてサポートするか、どうかなのだ。それが出来ている企業は強い。20年前のミムラはまったくそんな企業ではなかった。
素直に評価をする側とされる側。
どんなに素晴らしい会社になるだろうか。
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