働かないアリに意義がある〜きょうのありがたい一冊〜

2011/8/11 00:00  コメント(0)  閲覧回数:280   ブックマークするこのログをブックマークする  不適切な投稿として通報する  全体に公開


  なかなか興味深い一冊でした。

 僕らは経営や組織論を学ぶ時に「2:8の法則」とか、「パレートの法則 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87
」というものを学ぶことになる。


 この2:8の法則で引き合いに必ず出されるのが「アリの世界」だったのだ。もうそれは定説であり、伝説のように聞かされてきた。

 「20%の存在が、全体の80%の生産性をつかさどる」


 曰く、「全体のアリの中から、20%の働き者のアリだけを捕まえて組織をつくったら、働かないアリというのが存在するのでしょうか」という話だ。



 この本の帯を見てください。「7割は休んでいて、1割りは一生働かない」。よく聞きましたね、このお話。


 先ほどの質問の解答をこの本から読み取ると、やはりどれだけ働き者の組織を編成しなおしたとしても「常に一定の怠け者は出てくる」というのがアリちゃんの世界なのだそうだ。



 しかし、これらの「働かないアリにも意義がある」というのが、本書の大きなテーマなのだ。
 自分の周りに「働かない」人間がいても排除してはならない。
 本書のタイトルにあるように「働かないアリにも意義がある」というのだ。



 実は、アリの世界にも「過労死」があるのだという。
 働きアリの平均寿命は、約3年だという。しかし、皆が平均どおり働くのではなく、働くアリは一部であり、それらはけなげなぐらいに働き続ける。したがって「過労死」というか、平均寿命を生きられないアリさんが続出するのである。


 すると、「頑張って働くアリさん」ばかりを集めると、ある時期にいっせいに「過労」を迎えてしまい、その組織はそれまでの急ピッチな成長線とは別に途端に「崩壊」してしまう可能性が高いと、このセンセイは書いておられるのだ。みんんが一斉に疲れると社会は崩壊していくのだ。


 そこで脚光をあびるのが(笑).

 我らが「日ごろ働いていないアリさん」たちなのだ。



 彼らはけっして「働きたくない」から働いていなかったのではないという。
 周りで働いているアリが多い時には、「なぜか」働くことをしないのだそうだ。しかし、ひとたび「働かねばならない」時が来た時には、突如として「働くアリさん」に変身してしまう。この不思議な存在を組織存続の機能として、脈々と継承しているのが不思議なのだ。


 パチパチパチ。すごいではないか。
 そんなことを本能的に知るアリさんは、生まれながらにして遊んでいるのだそうだ。
 「このいっけん非効率な組織こそが、長期間にわたって組織を存続させるシステムとなって機能している」ということが分かったと言う。

 
 しかし、すべてのアリさんがそんな不思議な生き方を身に付けているわけでもなさそうで、なんと「1割のアリさん」は、生涯働くことのないどうしようもない存在である。


 もっと不思議なのは、何万といるアリの村社会も、ハチの組織も、司令塔たるリーダーがいないという現実です。にもかかわらず、必要な組織力が必要な部署にて組織全体が機能している。これはなぜなのか、詳しいことがまだ十分に解明できていません。




 また、オトコには哀しいお知らせがあります。



 ハチやアリの村社会では、普段はメスしかいません。


 働きバチや働きアリもみんなメスです。女王も当然メスであり、オスである王様はいません。兵隊アリもこれまたメスです。ミツバチのオスは新しい女王と交尾するごく短い期間だけ現われ、交尾を終えるとすぐにオスは死んでしまいます。


 オスのミツバチのことを英語ではdoroneと言い、これは「厄介者」を表すらしい。実に、哀しい単語ではないか。



 新しい女王と交尾を終えたオスは、その後エサも与えられなくなり、そればかりか、激しく攻撃を受けて巣から追い出されてしまうというではないか。追い出されたオスはむなしく死んでいくしかないのが定めなのだ。




 ハチとアリの世界を知ると、不思議と哀しみにあふれている。
 働き者とはなんなのか、いや、オトコとはなんなのだろうか。
 ナミダ無くして読めない一冊なのだ。



            オレこそと 思わば思え オスぞ 哀しき   −しんじ―
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