ある日、宝石のボランタリーチェーンからこの本が突然に送られてきた。しばしば送られてくることがあったし、マーケティングやマネージメントに関係する本が基本なので、ちょっと拍子抜けした。
帯に「第145回直木賞受賞作」
と書いてある。
えっ?直木賞受賞作が面白かったから選んでもらったのかなという率直な感想。
正直、僕の読書人生では小説はあまり要らない(フィクションの世界に付き合うほど、残された時間はないのだ)
でもぐんぐんと引き込まれていって、もう次に読む時間を確保するのがもどかしいぐらいに面白い。ジェットコースターの快適さがボクにはわからないが、読書のジェットコースターとはこんなことを云うのだ。
佃製作所の社長・佃航平が主人公である。
下町の部品制作の中小企業が大手の思惑と戦略に翻弄される。
そして苦しんだ挙句に、今度は一転、会社がゆうゆうとしばらくはやっていけるだけの特許使用金額を提示される。
会社の安全性とひきかえに自社の技術を引き渡そうか。
あるいは、自分の夢を叶えるために違う形の商品提供を行うか。
そのうち、社員までが騒ぎ出す。
社長の夢かどうか知らんが、会社の安定性を考えるのが社長の仕事ではないのか。
そこにつけこもうとする取引先会社。
会社は存続してこそ意義がある。
社長と言うのはそこから絶対に逃げられない。
しかし、男として勝負しなければならない時もあるだろう。
勝負してはいけないこともあるだろう。
社長としての決断。男としての決断。
話としては出来すぎた流れもなくはないが、男の夢を乗せていくにはそんなささやかな演出も許すこともできる。
ぜひぜひ、407ページの心地よいジェットコースターを体験いただきたい。
小説もたまにはいいじゃないか。
理屈なんかくそっくらえである。
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